Camino de Santiago

Sep.-Nov.2017: El Caminoの日々報告

カミーノいろいろ

歩く距離

25~30kmくらいを歩くのがちょうど良い。多くの人が25kmくらいを目安に歩いていたし、靴さえちゃんと選べば翌日に繰り越すダメージはあまり無いと思う。サンジャンでもらえる資料にモデル日程が書かれてあるので、それに従えば無理なく進める。

登山靴の人が圧倒的に多いが、ランニングシューズ、トレランシューズ、スニーカー、裸足と様々。個人的にはトレランシューズが最適だと思う。実際、今回の歩きでマメも靴擦れもその他故障もなかった。
 登山靴は平地を長距離歩くのには不向きで、通気性が悪いからマメもできるし、底の固い登山靴で歩いている人に靴擦れが多かったように思う。底が曲がりにくくて足の動きに靴が付いて来ないためにかかとが擦れるのかね。ランニングシューズ、トレランシューズに比べてクッション性がイマイチだから膝も痛くなりやすいだろうし。
 ランニングシューズは底が軟らか過ぎて、未舗装路の礫が足裏にダメージを与えてしまう。

日数

モデル日程では34日でサンジャンからサンティアゴに到着するが、30日程度でもそれほど無理な日程ではない。足にダメージが出にくくなるように準備をすれば、25日くらいでも問題ないと思う。途中で、毎日45km歩くという変態もいたが、そうすると20日以下。

費用

30ユーロ/dayもあれば十分。大雑把に宿10ユーロ、ディナー10ユーロ、昼飯・朝飯・間食など10ユーロ。安く済ませたいなら、自炊ができる安い宿をちゃんと選べば10ユーロくらい削れそう。

気温

内陸で乾燥帯なせいか、9月後半~11月前半は朝晩がかなり冷え、日中は暑い。日陰は涼しいが、日光が当たると暑いしチリチリ痛い。日焼け止めを塗らないと皮膚が死滅する。
 朝は長袖と防風用にレインウェアの上着を着たり、旅の後半では毎日ダウンを着ていた。手袋無しで歩く外国人も多くいたが、この時期は絶対にあった方が良い。

カミーノを歩いた1ヶ月くらいの間で、パラパラと降られることは幾度かあったけど雨らしい雨は1度だけ。時期が良いのか、そういう土地なのか。そのため折りたたみ傘を使うことはなかった。宿到着後、街歩きをする際に雨が降っていると傘があった方が便利だが、それ以外ではただの荷物。
 カッパで出歩くのでも良いのだが、ビチョビチョのカッパを着て店に入るのも悪い気がするし脱ぎ着するのが煩わしいので傘が便利。でも、巡礼路沿いなら「巡礼者」という免罪符がある程度効力を持っているような気がするのでビチャビチャでも気にしない。

出発時間

早い人は6時頃に出発するし、多くの人は夜明け前に宿をあとにする。日が出るまで歩かない人もいるが、アルベルゲは8~9時くらいまでに出なくてはいけない所が多い。

早朝の歩行

9月後半~11月前半は、8時~8時半くらいまでは暗い。町中は電灯が不必要なほど設置されているが、町間は真っ暗な場所もあるのでライトは必須。ただ、明るさを抑えて歩いた方が冒険感が出て楽しいし、月明かりがある時は月明かりだけでも十分歩ける。それでも光が届かない暗黒の森を抜けることもあるし、町中でも矢印等を探すのにライトがあった方が便利。

食事

巡礼路沿いは集落ごとくらいにバルやカフェがあるので、全く食べ物が無くなるということは無い。しかし、小さい町や村だと時間的に開いていないこともあるので、ビスケットなどの非常食は持っていた方が良い。巡礼者用に夜明け前から開けている店も多かった。どこもコーヒー類は確実にあるが、食料はパンやボカディージョだけだったり、トルティーヤがあったりエンパナーダがあったり。
 小さな町などでは、バルやカフェやレストランが一緒になったような店も多い。レストランには巡礼者メニューがあることが多く、10ユーロくらいで量も多いが、高いわりには美味いと思ったことはあまりない。とはいえ、あれくらい食べないとエネルギー的に持たない。
 スペインの(北部の?)食事のタイミングが日本とはずれていて、昼飯が14~15時頃、晩飯が20時~などで時間的にレストランで食べることを諦めることもしばしばあった。巡礼者向けに普通の時間に開けてくれている所もある。

トイレ

道中に公衆トイレはほぼ無い。したければバル等に入るか、道から外れてお花摘みに行くか。枯れた大地を歩く時は視界を遮る草木さえ無いので、お花摘みをするのも憚られる。

アルベルゲの受付

アルベルゲの受付は13~14時から始まることが多く、それくらいの時間で進むのを止める人も多い。そこからは人と話したり、本を読んだり、街を散策したり、昼寝したり、昼飯作ったり、バルで飲んだりと人によって様々。
 ほとんどの所は簡単な英語さえ話せれば問題ないが、小さな町だとスペイン語しか話せないホスピタレーロもいるので、数字くらいは知っておいた方が良い。まぁ、なんとなーくでどうにかなるけど。
 受付は21時や22時までやっているところが多く、自転車の巡礼者は夕方からしか受け付けないというアルベルゲもあった。
 クレデンシャルにスタンプを押してもらうためだけにアルベルゲに寄る人もいた。
 連泊ができないルールになっているが、サンティアゴ周辺ではそんなこともなかった(たぶん公営はルール遵守)。
 9月後半~11月前半は泊まる所が無くなることはなかったが、11月頃から休みに入るアルベルゲもあるので注意が必要。

アルベルゲの料金

5~12ユーロくらいで、高い方が快適かというとそうでもないこともある。サンジャンでもらえる資料に、料金だけでなく収容人数、キッチンの有無、自転車の受け入れ、個室の有無などが書いているので参考にはできるが、載っていない宿もある。
 寄付制のアルベルゲもあって寄付金額を悩むところだが、寄付ボックスが設置されているので自分の好きなタイミングで人目を気にせずに投入できる。当然払わない人もいるが、ホント気持ちの問題。寄付制でも晩飯や朝飯が出るアルベルゲもあった。

自炊

キッチンが付いたアルベルゲも多く、ちゃんと選べば自炊だけで済ませることができるのかも。調味料や油などは置いてある所と無い所があるので、自炊をするつもりなら持って行った方が良いかも。
 小さい町だとスーパーが無いこともあるし、あっても開店曜日や開店時間の関係で食材を買えないこともあるので注意が必要。日曜はスーパーが休みだと思った方が良い。スーパーによっては醤油が置いてある所もあり、より大きいスーパーにはキッコーマンの醤油があった。
 アウトドア用のバーナーで調理をしている人もいたが、飛行機に乗らずに地続きで来れる人の特権。お空の旅にバーナー類はお伴できない。

飲料水

スーパー等で買えるし、宿の水道水をペットボトルに入れている人も多くいた。街角等に水飲み場(aqua potable:飲料水と表示)があることもある。

電源

宿にはコンセントがあるので、充電はできる。ただ、ベッドごとにコンセントが付いている所もあれば、部屋に1つしか無かったり食堂にしかない所もあった。電子機器を手元から離すことに抵抗があるかもしれないが、巡礼者が人の物を盗らないと信用して充電するしかないし、「盗られた!」と騒ぎになることはなかった。巡礼者専用の宿じゃなければ充電のための放置は皆しないだろうな。

Wi-Fi

ほとんどのアルベルゲにはfree Wi-Fiが整備されているが、寄付制の宿には無い所もあった。注意すべきはXunta de Galiciaのアルベルゲ(ガリシア州の公営アルベルゲ)で、Wi-Fi接続用のパスワードがSMSで送られてくるため、スペインでSMSが受け取れるSIMカードを持っていないとWi-Fiが利用できない。

サンダル、スリッパ

アルベルゲ内では、基本的にはルールとして歩き用の靴は受付や部屋の外で脱ぐことになっていて、靴は脱げど土足なのでサンダルやスリッパが無いと困る。裸足の強者も時々いたが、多くの人はビーサンやクロックス等を持ってきていて、それで街歩きもしていた。私は飛行機の中でもらった使い捨てスリッパが軽くて折り畳めるのでずっと使っていたが、街歩きには向かないので外ではシューズを。

着替え

歩き用に着替えは2日分あれば、毎日洗濯すれば充分間に合う。街散策用にジーパン等の普段着を持ってきている人が意外といて驚いた(特に若い世代)。でも、巡礼路沿いの街なら運動する恰好でうろつく巡礼者も多いのであまり気にならない。

洗濯

宿によっては、有料の洗濯機や乾燥機が設置されている所もあった。泊まったアルベルゲでは、どこも手洗いできるシンクが設置されていたかな。手洗い用にタライが置かれてある所も多かったが、無い場合はゴミ袋に水を溜めると洗いやすい。固形石鹸で体も衣服も洗ってしまえば荷物を余計に持つ必要はないが、液体の洗濯洗剤を持ち歩いている人もいた。
 洗濯物干場がある所が多いが、男女で干場を分けることはしていない。歩くのは14~15時頃までが多いので、それから洗濯して干せば、日が暮れる頃にはだいたい乾いていた。

シャワー

アルベルゲにはシャワーが完備されているのが普通。施設によっては水圧が弱い所もあったが、汚れ落としには充分。男女共同使用のことも多々あった。石鹸類は、基本的には設置されていない。

ベッド

アルベルゲで寝る際は寝袋を使うのだが、使い捨てのベッドカバーと枕カバーが渡されるところも多かった。備え付けの毛布は恐ろしくて使えないし、使わなくてもアルベルゲ内は暖かく、むしろ寝袋にくるまっていると暑い時もあった。

ベッドバグ

恐れていた南京虫だが、1度だけそれらしい噛み痕が腕にできた。たいして痒くもないし、すぐには気付かなかった。噛まれたのは真ん中あたりの村の公営アルベルゲで、日が入りにくく、風通しも悪い部屋だった。

 噛まれたという話は他に1人からしか聞かなかった。
 ベッドバグ避けにハッカスプレーや虫除けスプレーをしている人もいたが、気休めだと思う。スプレーをするかどうかよりも、寝袋から手や足を出さない(シーツや枕に直接触れない)ことの方が重要。

いびき災害

同部屋に幅が広めの人がいたら、いびきがあると思った方が良い。対策としては耳栓。ちゃんとしていればあまり気にならない程度には緩和されるので、1g程度だし用意していても荷物にはならない。